宮内尚子(重症児・者福祉医療施設鈴が峰 音楽療法士)

一人で学んでいた時には忘れていた音楽の素晴らしさを、改めて発見!
勤務地  重症児・者福祉医療施設 鈴が峰
入職年月日  2001年
入職後の経歴  2001年7月 鈴が峰(音楽療法士)
夢は?  イルカと泳ぐ事

 

音楽療法は外界とつながるきっかけ
音楽療法は、レクレーション的な目的ではなく、人が音や音楽を体験することに意味を見出し、意識的に操作・利用することで、その人の豊かな生を保障することに意味を持ちます。
こちらの施設では、重度の知的障害、身体障害のある方が多いので、自分の体のことを認識していない方もいらっしゃいます。そういった方たちには、まずは打楽器の振動を感じてもらうことで、自分の手の存在に気づくというところから入っていきます。
気づくから触りたいという気持ちが起こり、ぐっと固く握っていた手が開く。これは、手を開くためのリハビリでもあります。
ですが私は、開くこと自体ではなく、外界と通じることで、外界のことを「知りたい」、「これなんだろう」と、いろいろな気づきを得るきっかけになることに注目しています。特に10代前半くらいまでの方であれば、気づいたり、心が動いたりという体験を通して、一人ひとりに応じた発達支援を行うことを意識しています。
自分自身が問われる難しさ
音楽療法の効果は目に見える形ですぐに表れるものではないし、数値で評価できるものでもありません。判断の基準が曖昧なので、ご利用者の方にとって本当はすごく心が動いたとしても、私の主観で、うまくいかなかったと判断してしまったり、ちょとした変化を見逃してしまったりすることがあるかもしれない。
または、本当は眠たくてうるさいなぁと思われていても、私が勝手にうまくいったと感じて、期待してしまったりということもあるかもしれない。
私自身が未熟であることによって、成果への評価がぶれてしまうというところに、難しさを感じています。
ご利用者の”個”を感じる瞬間が喜び
反対に、感情の表出が難しい方の変化を確信できる瞬間もあります。
音楽によって普段の生活ではなかなか見られない表情を引き出せると、ご利用者その人の“個”を強く感じることができます。保護者の方が見学に来られることもあるので、そういった瞬間をご家族と共有できた時は本当に嬉しいですし、音楽の力を実感します。
小さな変化の中に成長を発見できるのは、音楽の素晴らしさと言えるのではないでしょうか。
その人らしさを表現できる場面を、もっともっと引き出せるようになることが、音楽療法士としての今後の目標です。
改めて気づく「音楽って楽しい!」
音楽療法士という職業に出合う以前の私は、音大でクラリネットを専攻していました。当時は、いかにミスなくキレイに吹くかという、すごく狭い視点でしか音楽に触れられませんでした。小さい頃から音楽が好きだったはずなのに、いつの間にか辛いものになっていたんですね。
でも音楽療法士となって音楽への向き合い方が変わり、ご利用者の方たちと一緒に音を扱うという原初な部分を体験することで、「音楽って楽しい!」ということに、ようやく気づくことができました。
これは自分一人で音楽を勉強していた時には見出せなかったこと。
今、音楽の力を、改めて感じているところです。
POINT
その人らしさが引き出せる場面を音楽によって、もっと作りたい
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